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【解体】強制解体までのステップ

「危険な空き家」と認識されてしまったら問答無用で強制解体されてしまうのか?といった問合せを頂くことが増えてきました。

特措法の完全施行により「自分の持っている空き家も強制解体されてしまうのではないか」といった不安が広がっているようなので、本ブログでも行政代執行による空き家の強制解体までの流れとそれを防ぐ方法をまとめておきたいと思います。

 

【ステップ1】所有者特定、立入調査

特措法施行前には空き家所有者を「登記情報」により特定を行っていましたが特措法施行後の現在は「固定資産課税台帳」を利用して特定することが可能となりました。

世の中には未登記の建物が数多く存在するため登記情報だけでの所有者の特定は困難でしたが、課税台帳を利用することにより所有者の特定が容易となりました。

立入調査時には窓、壁の破損具合、ライフライン(ガス、水道、電気)の使用状態、建屋の傾き、衛生環境などが調査されます。

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【ステップ2】助言、指導

立入調査の結果を所有者にフィードバックして改善を促します。

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【ステップ3】勧告

ステップ2の後に改善されない場合は「勧告」を行ないます。

「勧告」を行った時点で固定資産税の優遇措置が適用外となり税金が6倍の金額となります。(元の税率に戻ると言った方が正しいかもしれません)

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【ステップ4】命令

ステップ3の勧告後に猶予期間を与えて期間を過ぎても改善がない場合には「命令」が下されます。

命令に従わない場合には最大50万円の過料がかせられる可能性があります。

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【ステップ5】意見聴取

勧告、命令を行っても改善が見られない場合には公開による所有者の意見聴取を行なう。

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【ステップ6】強制解体

行政代執行法の定めに従い市区町村による強制解体、撤去が行われます。

その際の費用は所有者に請求されます。

 

「危険な空き家」と認識されなければ強制解体は回避可能でステップ2の助言および指導にしたがって改善を行えば固定資産税の優遇措置の撤廃や強制解体は防ぐことが可能です。

また「ライフラインの維持」「1ヶ月に1回の訪問」といった空き家か空き家ではなきかの基準を意識した定期的な管理を怠らなければ目をつけられる可能性はぐっと低くなります。

定期的な管理が難しければ管理代行サービスの活用、解体して駐車場で運用することなどを検討しましょう。

 

またすべての自治体で上記の空き家調査ができるかというとそうでもありません。

最終的には強制的な解体もできるため事前の調査は正確に執り行わなければなりませんし、所有者の特定作業・交渉などにも多大なリソースが割かれます。

調査をするだけでも調査費用が必要となり過疎化が進む自治体(=空き家が多い地域の自治体)にとっては大きな負担となります。

代執行による解体費用は所有者へ請求するもののすべてが回収できるとも限りらないため公費負担の増加およびそれに対する市民の反発も予想されます。

 

リフォーム、リノベーションを施すことにより借りたい、買いたい人の数は多くなります。

現在の新築優遇から脱却して、空き家・古家の再活用を優遇する取組を広めていくのが有効な解決策ではないかと考えられます。

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